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指吸いが治らない 丁寧に言い聞かせる
 あるお母さんは、4歳になるわが子の歯のことで悩みを抱えていました。
 3歳児健診の時、歯科医師から「お子さんは開咬(かいこう=上下の前歯がかみ合わず、すき間がある状態)ですね。指を吸っていませんか?」と尋ねられました。
 確かに、寝る前によく指を吸っているし、前歯の上下がかみ合っておらず、ぽっかり穴が開いている感じであることにはうすうす気付いていました。「これが原因ですね」。子どもの右手の親指の関節にできたたこを見て、歯科医師はそう言いました。

愛情不足?

 家に帰り、インターネットで調べてみると、指吸いは「悪習癖の一つ」とあり、「原因は愛情の不足や家族関係など」と書かれていました。子どもに十分愛情を注いでいるつもりだったお母さんは全く身に覚えがなく、当惑してしまいました。もし治療が必要になり、子どもが治療器具を着けなければならなくなったらかわいそうだし、矯正治療は自費だと聞いているのでそれも気がかりです。
 そんなわけで、4歳になるまでそのままにしていましたが、状況は改善されません。意を決して近所の歯科医院に相談すると、歯科医師は「心配しなくても大丈夫。4〜5歳以降は言語能力が発達する時期だから、指吸いはあまりよくないということをそれとなく言って聞かせてあげてください。お子さんはきっと分かってくれるはずです」とアドバイスしてくれました。
 それからお母さんはアドバイスを実践するとともに、チェックのため3カ月ごとに通院しました。毎回写真を撮って前回の写真と比較していくと、かみ合わせは見る見るうちに改善され、1年後、5歳のころにはすっかりきれいになりました。

悪い癖を改善

 このように、お子さんに丁寧に言い聞かせることで「悪習癖」が改善されるケースは多く、遅くとも就学時までには90%以上が改善されるという統計もあります。悪習癖には指吸いのほかにも、つめをかむ▽タオルなどの物をかむ▽飲み込むときに舌を突き出す―などが知られており、いずれもかみ合わせを乱す原因とされます。
 もし、悪習癖が原因でかみ合わせが乱れていることに気づき、改善が見られないようなら、4〜5歳ごろに一度、かかりつけの歯科医師に相談するとよいでしょう。永久歯が生え始めた後も改善されない場合、何らかの矯正装置を用いた治療が小学生のころ必要になる可能性があります。
 例外として、過度の出っ歯や受け口の場合は骨格的な要因が疑われますので、習癖とは関係なく、気づいたらすぐ歯科医院に相談しましょう。